Japanische Klassiker mit Furigana
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かわはぜ
河沙魚
林 芙美子
Lesen Sie 河沙魚 (かわはぜ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.653 Zeichen · 24 Bildschirme
富佐子は久しく、千穂子に逢う事がないので階川の家の様子も判らなかったけれども、母親の梅は、様子の変って来ている千穂子と与平の関係をそれとなく感じている様子だった。与平が怒りっぽい男なので、ただ、そんな話にふれる事をさけているきりであったが、心のうちでは、梅は娘の身の上をひどく案じていた。
千穂子は女の子を産んだ。
肉親の誰一人にも診ててもらうでもなく、辛い難産であった。太郎や光吉の時も、このような苦しみようはしなかったと思うほどな辛さであった。――階川の家には、隆吉と与平の自転車が二台あったのを、与平は自分のを売って金に替えて、千穂子に持たせた。土地もない小百姓だったので、現金も案外持ってはいなかったし、与平にとっては、自分の貯えの中から、お産の金を出すと云う事は、隆吉に顔むけならない気持ちで、自分の自転車は盗まれた事にすればよいと思っていたのだ。
女の子供が生れたと聞いても、与平は別にうれしくもなかった。隆吉の下に霜江と云う娘があったけれど、十一の時に肺炎で死なせてしまった。いま生きていれば、二十三の娘ざかりである。
与平は仄々といい気持ちに酔って来た。