Japanische Klassiker mit Furigana
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かじか
河鹿
岡本 綺堂
Lesen Sie 河鹿 (かじか) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.671 Zeichen · 12 Bildschirme
天気の悪いせいでもあろうが、どこへ出るでもなしに一日とじ籠っていて、ほとんど口一つ利いたことがないといってもいいくらい。いくら上品にしても、人間が三人揃っているんだからね、たまには笑い声ぐらい聞こえそうなものだが、静まり返って音もない。病人かと思うと、そうでもないらしい。もっとも奥さんは中背の痩せぎすな人で、顔の色は水のように蒼白かったが、風呂場などへ通っている様子をみるのに、別に病人というほどの弱った姿もみえなかった。が、まあ、僕に取っては静かな方が結局ありがたいので、深くも気に留めていないと、ある晩のことだ。その日は昼のうち少し晴れたので、僕は宮の下の町まで買物ながら散歩に出て、一時間ほどもうろ付いて帰ってくると、その途中から霧のような細かい雨がまたしとしとと降り出して来て、夜になっても止みそうもない。あしたもまた降り籠められるのかと鬱陶しく思いながら、僕は夕飯の膳にむかった。それから電灯の下で書物を読んで、十時頃に風呂にはいって、すぐに寝床にもぐり込んだが、隣り座敷の三人は一時間ほども前にもう寝てしまったらしく、縁側に向いた障子には電灯のひかりはさしていなかった。