Japanische Klassiker mit Furigana
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うたかたのき
泡沫の記
久生 十蘭
Lesen Sie 泡沫の記 (うたかたのき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.889 Zeichen · 26 Bildschirme
のみならず、地球自体の動きにつれて微妙に位置を変えるので、しばらく見ていると私の身体が羽化して、ほの暗い宇宙に浮びあがり、星座の間を遊行しているような孤独な感覚に襲われた。
こういう奇妙な感じは、どこからやってくるのかと、しばらく考えていたが、間もなくわかった。吹きぬけの窓のそばにある池――仏蘭西でバッサンといっているものだが、その緑は、どこが終りともわからないように、つらつらに緑の漆を塗った、人工のアカンサスの草むらの中に消えている。池の底は平らな鏡なので、その上にある浅い水が、たぶんなにかの精巧な機械の仕掛でたえずゆるやかに旋回している。その速度とリズムは、ついさっき星座の間を遊行したとき、感覚に訴えたものとよく似ている。旋回してやまぬ水の面にうつった星が四阿の壁の鏡に映写され、黄金の車渠貝のソファに横たわっている私の感覚を、宇宙の高みで蕩揺させたのであった。
四阿からむこうの城の建物につづく長い道は、鋳金の柱に支えられた彎曲ガラスの屋根に蔽われ、左右の壁にあたるところは、小滝の落ちている鐘乳洞になっている。滝の水のそのまま流れになり、せせらぎの音をたてながら、岩山の下のほうへ走り下っていた。