Japanische Klassiker mit Furigana
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はたのてい
波多野邸
豊島 与志雄
Lesen Sie 波多野邸 (はたのてい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.194 Zeichen · 45 Bildschirme
種類が多いだけに一層豊かに思われた。空いてる地面には、やがて薩摩芋が植えられることになっていた。いくら多く作っても、知人たちに分配するにはまだ足りないそうだった。麦を蒔いていないことが自慢で、地面を長く占領し肥料を多く吸収する麦は家庭園芸の範囲外のものとのことだった。
このみごとな菜園を控えてる小屋へ、千枝子が米を一升ばかり届けると、お菊さんはその米を両手ですくってさらさらとこぼし、またそれを繰り返して、淋しく微笑んだ。
「やっぱり、お米が一番なつかしゅうございますね。この四五日、一粒も頂かないんでございますよ。」
米の配給はどこでも遅延していたが、それでも……千枝子には意外だった。
「何をあがっていらしたの。」
「お魚と野菜ばかりで、もうがっかり致しました。」
それも、千枝子には意外だった。魚や野菜は波多野家にはひどく乏しかった。
「まったく、不自然で不合理ですわ。」
その言葉は空に流れた。お菊さんは機械的に頷いただけで、茶を汲んで出した。
耕地の片隅で、二人の子供が瓦や石を積んで遊んでいた。男の子は、女の子のように髪の毛を長く伸ばしており、女の子は、男の子のような絣の着物をきていた。