Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

「いくら新しい良人がいいったって、子供は離しませんよ」

「それは、まともな事だよ。だけど、良人がその子供を嫌がったら困るじゃないか」

「そんな無理をいう良人は持ちませんよ」

「そうか、そうすると、さしずめ、俺は無理をいわぬ、いい御亭主だな」

「何ですか、少しばかり懸賞金貰ったと思って厭に鼻息が荒くて……」

「まだ三百円貰えなかったことにこだわっているのだろう? 新しい雑誌社だもの、五拾円でも貰えれば、もって幸福とせにゃならん」

「ああ厭だ厭だ……」

寛子は、啓吉の方へ見向きもしないで、台所の方へ降りて行った。

啓吉は所在がないので、梯子段の上り口に腰を降ろして爪を噛んでいたが相変らずしゃっくりは止まらない。

勘三は、勘三でまた腹這いになって、

「俺だって、こんな生活は厭々なンだ」

と大きい声で呶鳴った。

「そうでしょう……貴方が厭だってことは、この二三日、私によく判っていますよッ」

「大きな口を利くなッ」

「そんな事をおっしゃるけれども、ちゃんと判るンですから……貴方の気持ちなんて……」

「うん、それで、頬紅なンぞつけてきげんとっているんだな?」

「あら厭だ、若い女に言うような冗談はいわないで下さい!」