Japanische Klassiker mit Furigana
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でいたんちそうわ
泥炭地双話
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 泥炭地双話 (でいたんちそうわ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.790 Zeichen · 12 Bildschirme
その土黄色にも沢山の白が雑っている。この白の勝った土黄色と、名も無い雑草どもの茶色との混淆が、晩秋の泥炭地帯の草原を特徴づける基調の色である。眼に立つ色ではないが、人の心を惹く美しさである。それは手近に譬えるものがない独特の色彩であって、正倉院に秘められている纐纈染の色くらいが、これに比さるべきものであろう。
こういう色彩が、強く人の心を惹くのは、それがこの北国の冬をひかえた空の特殊の光と、よく調和しているためかもしれない。しかしそれよりも、もっと人間の生命に直接関係した理由があるのであろう。それは土地の乾く喜びとでも言うべきものが、蔭の深いところで働いているためではなかろうか。
雪国の遅い春を待ち佗びる人々にのみ、春先の道の白く乾く歓びが感ぜられるものならば、夏の間中一足ごとにその足跡に水の浸み出る土地が、ふかふかと乾いて来る歓びが、晩秋の泥炭地帯の美の一つの根源をなしているのかもしれない。雪国の道が白く乾く晩春は、間もなく陽光が燦々と若葉の上に降る北国の初夏につづく。しかしようやくにして水の引いた泥炭地帯の晩秋は、この地方に特有な烈しい吹雪をすぐ間近に待つばかりである。