Japanische Klassiker mit Furigana
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でいたんちそうわ
泥炭地双話
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 泥炭地双話 (でいたんちそうわ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.790 Zeichen · 12 Bildschirme
それなればこそ、単調な土黄色の一色の景色の中に、千年秘められた織物の色の静まり返る美しさを見るのであろう。
みずごけや雑草はもとより、よしもすげも間もなく枯れて、雪の下に埋れてしまう運命にある。六カ月の冬が過ぎて、春の陽が再び戻って来ても、気温の低いこの北の国では、それらの枯草の遺骸は腐ることもなく、冷たい水の中で次ぎ次ぎと重なって行く。そして人間の生涯などとは較べられない長い年月のうちに、次第に炭化されて黒い泥炭に変って行くのである。
こういう土地の上でも、人間はその営みをして、わずかにその生命をつないで行く。長い排水溝を掘り、新しい土を入れて、三十年の年月をかけて、一望千里の原野の中に、数町歩の畑を作る。そして篤農家という名前を貰って、小さい賞状を額に入れて爐の上に飾るのである。その賞状も畑に黒く煤けて、暗い部屋の中では、文字もはっきりとは読まれない。泥炭地にその生涯を送るこれらの人々に一番気の毒なことは、自分が住んでいる土地の美しさを知らないことであろう。
泥炭そのものは、作物にそうひどい害はないそうである。泥炭の苗代で作った稲には冷害が無いと言う人さえあるくらいである。