Japanische Klassiker mit Furigana
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ふろうまんご
浮浪漫語
辻 潤
Lesen Sie 浮浪漫語 (ふろうまんご) von 辻 潤 (つじじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.604 Zeichen · 15 Bildschirme
従って自分の霊魂はあまり物を書くことを欲してはいないのらしい。それにも拘らず、自分はこれまでに、またこれからも幾度となく物を書くという動作をやるだろう。
浮浪の衝動は静止の不安から起ってくるらしい。その癖、あまり自動的ではない自分がとに角、腰を落ちつけていられなくなるところを見ると、その不安はよほど自分にとって恐ろしいものに相違ない。尤も空想や幻想が頭の中に簇(むら)がり起っている場合、若しくは強烈な官能の悦楽に耽っている場合などはそれを忘れてはいるが、まったくそれ等のものを奪われるか、失うかしてしまった時の自分は必ず激しい焦躁と倦怠とに苛まれて、何処かに動き出さずにはいられなくなるのである。そんな時、忽然として目の前に蜃気楼か、キネマでも現われてくれたなら一時的に救われるようなことにならないとも限らない。だがそんな註文の不可能なことはわかりきッた話である。
金があって道楽に名所旧蹟でも見物して歩くなどという旅行とはまるで雲泥の差である。ただ滅茶苦茶に眼先が変わりさえすればいい。だから歩く処は全然見ず知らずの土地に限る。都会の中でもかまわない。一度も歩いたことのない町や路地を、ウロウロしてさえ一寸フレッシュな気持にさせられる時がある。