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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

極度の歓びと、限りなき苦しみとの、どろどろに溶け合ったような一夜であった。

三上にも、小倉にも、それは回視するに忍びないような、各の思い出を、その夜は焼きつけた。それは永劫にさめることのないほどの夜であるべきであると思われた。それほどその夜は二人にとって大きな夜であった。

人間の一生のうちに、その人の一切の事情を、一撃の下に転倒させるような重大な事件があり、社会においては、全社会を聳動せしめるような大事件がある。そして、それらの事件が必ず夜か昼かに行なわれ、その事件とはまるで関係なしに、夜になったり、朝になったりすることは、個人として、社会として、その事件に当面したものに、ばかげた、不思議な感じをきっと起こさせるものだ。中には「ああ、おれにとって、あれほど重大なことがあったのに、どうだろう、夜が明けた」と思わせるのである。

三上と、小倉とは、各が、そんなふうな感じをもって、朝の六時に起きた。二人ともはれぼったい目をしていた。

一夜は明けた。そして、重大なる事件は未解決のままに、夜を持ち越して、明けたのであった。それは、一夜を持ち越したために、事実の形を千倍もの太さにしてしまった。