Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
監獄と、船中においては、甘いものは、ダイアモンドよりも貴かった。
波田は、その全収入をあげて、沖売ろうに奉公していた。彼は、船員としての因襲的な悪徳にはしみない性格であったが、「菓子で身を持ちくずす」のであった。彼はきわめて貧乏――月八円――であった。それだのに、彼は金つばを三十ぐらいは、どうしても食べないではいられないのであった。しかし、財政の方がそれほど食べることを許さないのであった。彼は沖売ろうがいっそのこと来ねばいいにと、いつも思うのであった。そのくせ沖売ろうの来ない日は、彼は元気がないのであった。全く彼は「甘いものに身を持ちくずす」のであった。
この場合においても彼は、ソーッと、自分の棚から、状袋を出して、その中に五十銭玉が一つ光っていることを見ると、非常な誘惑を菓子箱に感じた。
「どうしてもおれは仕事着と、靴が一足いるんだがなあ」と考えはした。彼は、その全収入を菓子屋に奉公するために、仕事着は、二着っきり、靴はなく、どんな寒い時もゴム裏足袋の、バリバリ凍ったのをはいていた。そして、ボースンの、ゴム長靴のペケを利用して、その脛の部分だけを、ゲートル流にはいていたのであった。