Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
藤原はそのあらゆる激怒と、憤懣とを、船長の前で、そのしっかり踏んだ足の下に踏みつけて立っていた。
「だが、負傷手当を船から出すべきじゃありませんか。それに、足を負傷して寝ているものが、この雪の中を歩いて行くというわけにも行きませんからね。俥賃と、診察料とを払ってくださいまし。それに、……」
船長は、爆発した。
「負傷手当を船から『出すべき』だ? べきだとは何だ! べきだとは! そんな生意気な横柄なことをいうんだったら、どうとも勝手にしろ、おれは、手前らに相手になってる暇はないんだ! ばかな!」
船長は怒鳴りつけると、そのまま、桟橋へとおりて行った。
藤原は自分の足の下に踏んでいたかんしゃく玉を、そうと、やっぱりおさえつづけた。彼はアハハハハハと、船長の後ろ姿に向かって哄笑を浴びせかけた。
船長は桟橋の上へ飛び上がった。ポケットで金が鳴った。彼は、ひどく怒りはしたが、先を急いでいた。
「明日、片をつけてやるから」と自分をなだめながら、桟橋の闇へと消えて行った。
彼は、しばらくすると、ほとんど全速力で駆け足に移った。何だか、メスが、自分の心臓に向かって光りそうで気になってならないのであった。