Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
こんな場合には、人は恐らく、どんなものでも、見るもの一切がなつかしいものだ、どうかすると、自分にけんかを吹っかける、酔っぱらいでさえも。それは放免された囚人の心と同じであった。
彼を連れて行く、藤原と、波田とはしたくをしていた。したくをしながら、二十五歳のキビキビした青年、波田は悲痛な冗談をいっていた。
「病院には、看護婦がいるぜ、色の白い、無邪気な、それほど別嬪ではないが、すてきにかわいい……」
「何だい、こいつすみに置けねえなあ、君は病院に行ったことがあるかい」波田にしては珍しい話なので、藤原が一本突っ込んだ。
「その目がいいんだ! 目がね、汚れたどんな塵も映さない、山中のまだ発見されない、処女湖のような澄み切った、親切な目なんだ! その女は、全く、どの患者にでも、兄妹のように、わざとらしからぬ親切さでもって、接するんだ!」波田は、すでに十度以上は、便所掃除で汚した仕事着に腕を通しながら、自分の恋人のことを語るように言った。
「似合わねえな。波田君、糞だらけの服と、澄み切ったひとみの処女とは、どう工面して見たって、縁がねえなあ」と、藤原は冷やかした。