Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
が、やがて彼は煙草を捨てて立ち上がった。
「波田君、君は感心に本を読むね、それは何て本だい。航海学かい」
「ナアニ、友人から借りて来たんだが、とてもむずかしくて、わからねえんだ」
「ちょっと見せたまえ、ヘヘー、マルクス全集、第一巻※(ローマ数字2、1-13-22)か、資本論か、それや君、社会主義の本じゃないかい」
藤原は、自分もその本を非常に読みたく思っていたが、あまり高価なので今まで買うことができなかった。彼は中をめくって見ながら「おもしろいかい」ときいた。
「おもしろいか、おもしろくないか、ためになるか、ならぬか、まるでわからぬよ。意味がわからないんだ。ところどころサーチライトで照らし出したほど部分的にわかるところがあるんだ。そこはね、本文の論旨を説明するために引例したところさ。その例だけはわかる。そしてすてきにおもしろい。おもしろいというより、何だか、僕たちのことが、僕たちの知ってるより以上にくわしく書かれているよ。だけど、その例以外はまるでわからないんだよ」波田は正直に答えた。
「僕にも読ましてくれ、ね」藤原は頼んだ。
「ああ、いいとも、読んでくれたまえ、まだ続きが三冊あるからね」