Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
「あの灯のあたりがおれの家だ」と、乗って二十分ぐらいの間は、思っていた。ところが、いつまでたっても港口が近づかなかった。しかし、まっ暗やみであったが、櫓の音も、二人の鼻息もすさまじい風の音を破って彼にまでも聞こえるのであった。
伝馬は、仙台沖の鰹舟で鍛え上げた三上がともを押して、小倉が日本海隠岐で鍛えた腕で、わきを押した。
しかし、彼らは二人とも、本船を離れるが早いか、これはむずかしいと直感したのであった。櫓は、振り回す鞭のようにしわっても、伝馬は、港口から、流れ出る潮流に押し流されて、すこしも進まないのであった。で、彼らは、港口までは、逆流を利用しようと決心した。そこで、船首を本牧の方へ向けた。伝馬は進んだ。しかし、それは激流を横ぎるような作用と共に進んだのであった。彼らは、本船を離れて三十分もたったころ、どこに本船があるかを、片方の手で額の汗をぬぐいながらさがして見た。
本船は、黒く、小さく、港口の方に見えた。
彼らは流されつつあることを知った。しかし、彼らは、彼らの持っている最大の力以上は出せなかった。その上彼らは三十分全力を尽くしたのだ。