Japanische Klassiker mit Furigana
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うみのかなた
海のかなた
小川 未明
Lesen Sie 海のかなた (うみのかなた) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.028 Zeichen · 14 Bildschirme
おじいさんは、自分の鳴らす、バイオリンの音に、自分からうっとりとして、時のたつのを忘れることもありました。
夏の日の晩方には、村の子供らがおおぜい、この城跡に集まってきて石を投げたり鬼ごっこをしたり、また繩をまわしたりして遊んでいました。子供らは、はじめのうちは、おじいさんの弾くバイオリンの音を珍しいものに思って、みんなそのまわりに集まって聞いていました。
「いい音がするね。」
「学校のオルガンよりか、この音のほうがいいね。」
子供らは、たがいに、こんなことをいいあっていました。
おじいさんは、あるときは、子供らを相手にいろいろな話もしました。しかしみんなは、おじいさんの弾くバイオリンの音に慣れ、またおじいさんの話にも聞き飽きると、いままでのように、おじいさんのまわりには寄ってきませんでした。
「薬売りのおじいさんが、また、あすこで鳴らしているよ。」と、一人の子供がいうと、
「稽古をしているのだよ。」と、他の一人の子供がいいました。
「稽古でない、海の景色がいいから、見てうたっているのだよ。」
「そうでない、ねえ、稽古だねえ。」
子供らはいろんなことをいって、議論をしましたが、また、そんなことは忘れてしまって、みんなは遊びに夢中になりました。