Japanische Klassiker mit Furigana
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うみのかなた
海のかなた
小川 未明
Lesen Sie 海のかなた (うみのかなた) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.028 Zeichen · 14 Bildschirme
「なかなかよく弾けるようになった。」といって、おじいさんは、松蔵の頭をなでてくれることもありました。
夏も、もはや逝くころでありました。おじいさんは、ある日のこと、松蔵に向かって、
「坊や、おじいさんは、もう帰らなければならない。こんど、いつまた坊にあわれるかわからない。坊は、きっと上手なバイオリンの弾き手になるだろう。私のかたみに、このバイオリンを坊に置いてゆく。坊は、このバイオリンで私がいなくなってもよく、稽古をしたがいい。」といって、バイオリンを松蔵にくれました。
少年は、どんなに喜んだでありましょう。また、おじいさんに別れなければならぬのを、どんなに悲しく思ったでありましょう。
おじいさんは、船に乗って、遠く、遠くいってしまいました。少年は、おじいさんの故郷を知らなかったのです。ただ、このとき、海の上を望んで悲しんでいました。おじいさんを乗せた船は、夕焼けのする、紅い海のかなたに消えてゆきました。少年は、果てしない、その方を見やって、ただ悲しみのために泣いていました。
毎日、入り日は、紅く海の上を彩りました。そして、城跡から、海をながめるその景色に変わりはなかったけれど、おじいさんの姿は、もはや、どこにも見ることができませんでした。