Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かいすいよく
海水浴
寺田 寅彦
Lesen Sie 海水浴 (かいすいよく) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.721 Zeichen · 10 Bildschirme
この土地の船乗りの中には二、三百トンくらいの帆船に雑貨を積んで南洋へ貿易に出掛けるのが沢山いるという話であった。浜辺へ出て遠い沖の彼方に土堤のように連なる積雲を眺めながら、あの雲の下をどこまでも南へ南へ乗出して行くといつかはニューギニアか濠洲へ着くのかしらと思ってお伽噺的な空想に耽ったりしたものである。宿の主婦の育てていた貰い子で十歳くらいの男の子があったが、この子の父親は漁師である日鮪漁に出たきり帰って来なかったという話であった。発動機船もなく天気予報の無線電信などもなかった時代に百マイルも沖へ出ての鮪漁は全くの命懸けの仕事であったに相違ない。それはとにかく、この男の子が鳥目で夜になると視力が無くなるというので、「黒チヌ」という魚の生き胆を主婦が方々から貰って来ては飲ませていた。一種のビタミン療法であろうと思われる。見たところ元気のいい子で、顔も背中も渋紙のような色をして、そして当時流行っていた卑猥な流行唄を歌いながら丸裸の跣足で浜を走り廻っていた。
同じ宿に三十歳くらいで赤ん坊を一人つれた大阪弁のちょっと小意気な容貌の女がいた。どういう人だかわれわれには分らなかった。