Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かいひんいちじつ
海浜一日
宮本 百合子
Lesen Sie 海浜一日 (かいひんいちじつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.953 Zeichen · 8 Bildschirme
広い、人気のない渚の砂は、浪が打ち寄せては退くごとに滑らかに濡れて夕焼に染った。
「もう大島見えないわね」
「――雪模様だな、少し」
風がやはり吹いた。海が次第に重い銅色になって来た。光りの消えた砂浜を小急ぎに、父を真中にやって来ると、白斑の犬が一匹船の横から出て来た。
「こい、こい」
晴子が手を出すと、尾を振りながら跟いて来た。
「何だお前の名は――ポチか? え?」
そして、父が短い口笛で愛想した。
「ポチかもしれないわ。なんだかポチ的表情よ平凡で」
浜は遠い箱根の裾までひろがっているのに見渡す限り人影もない。犬も淋しそうであった。頻りに尾を振り、前になり、後になり、真白な泡になってサーと足許に迫って来る潮を一向恐れず元気に汀を走るのが海辺の犬らしかった。父がやがて、
「気をつけなさい。狂犬だといけないよ」と注意した。
晴子が、
「狂犬だって!」
と、大笑いに笑って、一層犬に来い、来い、した。
「狂犬じゃないわ、お父様これ」
「舌出してないから大丈夫よ」
「あら狂犬て舌出すの?」
「ああ。晴子みたいに」
「ひどい!」
散々晴子や佐和子とじゃれ、斑犬は今父の靴の踵にくっついた。