Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいひんそうのさつじん

海浜荘の殺人

山本 周五郎

Lesen Sie 海浜荘の殺人 (かいひんそうのさつじん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.672 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

一番列車!

――おっと待って下さい。僕に少しのあいだ饒舌らせて頂きたいんです。宜いでしょうな? 署長さん」

一番列車!

「事件の経過はもう御承知の通りです。そして僕と久良、井上、荒木の四人は最も疑われる立場にいます。――実は、僕はさっきから次の部屋で聞いていたのですが、井上君たちが西浜の一本松の処に数時間いたという事は、事実として正確ではありません。そこに煙草の吸殻や燐寸の燃えさしが有ったとしても、それが確に昨夜のものだという証拠がないからです」

「君は我々を犯人だと云うのか」

井上が呶号した。

「君こそ今まで何処にいたか分らないのに。僕たちを呼出した手紙も或は君の仕業じゃないのか!」

「まあ聞き給え、本論はこれからだ」

千之は静かに笑って、署長の方へ振返った。

「署長さん、この部屋の物には誰も手をつけてないでしょうね」

「何一つ手を触れては居らん」

「あの足台もですね※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

皆は千之の指さす方を見た、――倒れている老子爵の足の方に、子爵が常に痛風症に悩む足を載せて居た足台が転げていた。

「むろんあれも彼処に在ったままだ」

「ねえしいちゃん」

千之は志津子の方へ振返った。