Japanische Klassiker mit Furigana
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かいいき
海異記
泉 鏡花
Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme
八
「そうする内に、またお猿をやって、ころりと屈んだ人間ぐれえに縮かまって、そこら一面に、さっと暗くなったと思うと、あやし火の奴め、ぶらぶらと裾に泡を立てて、いきをついて畝って来て、今度はおらが足の舵に搦んで、ひらひらと燃えただよ。
おらあ、目を塞いだが、鼻の尖だ。艫へ這上りそうな形よ、それで片っぺら燃えのびて、おらが持っている艪をつかまえそうにした時、おらが手は爪の色まで黄色くなって、目の玉もやっぱりその色に染まるだがね。だぶりだぶり舷さ打つ波も船も、黄色だよ。それでな、姉さん、金色になって光るなら、金の船で大丈夫というもんだが、あやかしだからそうは行かねえ。
時々煙のようになって船の形が消えるだね。浪が真黒に畝ってよ、そのたびに化物め、いきをついてまた燃えるだ。
おら一生懸命に、艪で掻のめしてくれたけれど、火の奴は舵にからまりくさって、はあ、婦人の裾が巻きついたようにも見えれば、爺の腰がしがみついたようでもありよ。大きい鮟鱇が、腹の中へ、白張提灯鵜呑みにしたようにもあった。
こん畜生、こん畜生と、おら、じだんだを蹈んだもんだで、舵へついたかよ、と理右衛門爺さまがいわっしゃる。