Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme
権兵衛は歩きだした。総之丞も黙って跟いて往った。
二
六七人の人夫の一群が前方から来た。礁の破片を運んでいる人夫であるから、邪魔になってはいけないと思ったので、権兵衛は体を片寄せて往こうとした。其の人夫の先頭に立った大きな男の背には一人の人夫が負われて、襦袢の衣片で巻いたらしい一方の手端を其の男の左の肩から垂らしていた。そして、其の大きな男の後にも枴で差し担った簣が来ていたが、それにも人夫の一人が頭と一方の足端を衣片でぐるぐる巻きにして仰臥に寝かされていた。見ると其の人夫の頭を巻いた衣片には生なました血が浸んで、衣片の下から覗いている頬から下の色は蒼黒くなって血の気が失せていた。
「おう、これは」
権兵衛は眼を見はった。簣の横にいた横肥のした人夫の一人がそれを見て権兵衛の前へ出た。それは松蔵と云う人夫の組頭の一人であった。
「どうした事じゃ」
「礁の上から転びました」
「転んだぐらいで、そんな負傷をしたか」
「物の機でございましょう、下に鋸の歯のようになった処がございまして、その上へ落ちたものでございますから」
「そうか」
一行は其の前に停まっていた。