Japanische Klassiker mit Furigana
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あざらしとう
海豹島
久生 十蘭
Lesen Sie 海豹島 (あざらしとう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.311 Zeichen · 48 Bildschirme
すんなりと両手をのばし、うっすらと眼をとじている。その面ざしの美しさは思いうかべられる限りのいかなる形象よりもたちまさっていた。膚はいま降った淡雪のように白くほのかに、生れたばかりのように弱々しかった。美しい肢体はたえず陽炎のように揺れ、手を触れたらそのまま消えてしまいそうだった。狭山は床に跪まずいて合掌し、恍惚たる眼差でまたたきもせずに凝視していた。
霧の間から朝日の光が洩れ、八日目の朝が来た。狭山は蚕棚の端に腰をかけ、首をたれて悲嘆に沈んでいたが、静かに立ってきて向きあう床几に掛けると、こんな話をした。
Agrapha(陳述されざりし部分)
それは荒木の姪で山中はなともうしました。としは十八で、こころもちのいいそのくせちょっとひょうきんなところもあるむすめでした。十一がつのなかごろの定期でおじをたずねて敷香からこの島へやってまいりました。もちろんこの島で越年するつもりなどはなく、すぐつぎの船でかえるはずだったのですが、時化でさいごの定期がこず、いやおうなしに島にとまることになったのであります。たとえてもうしますなら、この岩ばかりの島にとつぜんうつくしい花がさきだしたようなものでありました。