Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
たところで、ようやく横倒しになって沈没してしまった。
軍艦に残った十七人は、みな海事の老練者であり、全員四百余人のなかで最も利口な連中で、ラ・メデュウズは絶対に沈まないという確信があったればこそ、進んで残留したのだったが、その後になって、なんのために安全な立場を捨てたのか、その点、永久の謎である。軍艦の中には、麦粉、肉の塩漬、食用油、脂肉、ブランディ、飲用水代りの淡味の葡萄酒の樽などが、船艙への昇降も出来かねるほどに積みあげられ、十七人の人間では一年や二年で喰い尽されないだけのものが残っていたのだから、そのほうの理由だとも思われない。生残った三人は、「あいつらはなにを考えていたのかわからない」とだけいい、強いて訊問しようとすると、発狂を装って、あらぬことを口走りだすという始末で、どうしようもなかった。
だが、それらの出来事は、全体からいえば幕間劇ぐらいのところで、このドラマの主要な部分はすべて筏の上で展開される。サヴィニという軍医試補と、コレアールという技師と、シャルルという八等勤務の黒人輸卒の三人の主要俳優が登場し、サヴィニは王様役を、コレアールは侍従役を、シャルルは首斬人の役を受持ち、自然らしいといえばいかにも自然らしいペロットの発展に尽瘁するのである。