Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
ラ・メデュウズの航路が危険なほど接岸していた事実を思いあわせ、それとなき不安を感じていると、その夜の十一時近くになって、総督、艦隊司令官以下六十三名の乗った二隻の端艇が河口に上ってきた。筏を見捨て、逸早く帆走をはじめたこの二隻の端艇も、しかし安全無事にはいかなかった。砂洲に乗りあげ、逆風に吹きまくられ、さんざんな目にあい、メリク岬の沖を通るあたりまでは僚艇が見えていたが、間もなくそれらからも離れ、四日の間、荒天の海を漂流していたのである。
レコォはバルバリーの砂嘴の突端まで下り、後続の端艇のために一晩中、火箭をうちあげていたが、九日の朝になっても、なお一隻も帰って来ない。ともかく応急の措置をとらなければというので、レコォの艦長室で首脳会議を開いているところへ、運送船のル・ロァールがほうほうの態で砂嘴の突角に辿りついた。
ル・ロァールの船長が情況報告をした。ラ・メデュウズは浮洲に擱坐したまま、艦体を保全しているのが見えたが、附近の海上には端艇も筏もいなかったから、逆風に吹き戻されてラ・メデュウズに帰ったのではないかというようなことをいった。さしたる根拠のない、いい加減な想像説だったが、総督と艦隊司令官は、深くも考えずに、そういうことなら、早速、救助にやろうということになった。