Japanische Klassiker mit Furigana
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りんらくのこうじょのおぼえがき
淪落の皇女の覚書
久生 十蘭
Lesen Sie 淪落の皇女の覚書 (りんらくのこうじょのおぼえがき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.649 Zeichen · 56 Bildschirme
「皇后はバカだというもっぱらの評判ですが、あたしの見るところでは、むしろ偏屈といったほうが当っているように思います。話がこみいってくると、それがどんな問題だろうと、結果も考えずに大きな声で我鳴りたて、相手が恐れをなして黙ってしまうと、やはり自分の意見のほうが正しかったと思うので、思考力や想像力などは露ほども示されたことがありませんでした」
アレクサンドラは政治の面白さがいくらかわかりかけてくると、毎夜、遅くまで政務に精励し、勅令の草稿を書き、大臣の任免をやり、戦線の伸縮にまで口をだし、参謀本部の作戦計画を根底から混乱させるようなこともしばしばだったが、皇帝にたいしても無限の勢力を持つようになり、アレクサンドラがなにかいうと、ニコラスはあらゆる事態を無言のまま承認するという習慣が出来てしまった。皇太后のマリア・フェオドロオウナは息子を嫁の制圧から救いだそうと、長い間、陰気な抗争をつづけていたが、息子と不和になるに及んで、あきらめて手をひいてしまった。
それはそれとしてニコラスのほうはかならずしもアレクサンドラに雌伏したのではなく、国政の雑用は妻に委せ、自分はもっぱら世界政策の立案に専念しているつもりだった。