Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
Lesen Sie 深夜の客 (しんやのきゃく) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.926 Zeichen · 28 Bildschirme
「よほど、善良な方なんですわねえ」
「ですが、段々日を経るに従って、彼の頭にいろいろな疑いが起りました。やたらむしょうに突いたが、肉体を突刺したような手応えは一度もなかった。それだのに、冬子は背中から肺臓を突貫かれ、仙ちゃんは心臓を突かれている。どうもそれが分らないのでした。記憶が次第に整って来るにつれ、妻が死際に、あなた武さんを押えてよ、と、云った言葉も、また刺そうとしているのが夫だったとしたら、その夫へ救いを求めていたのも変です。暗闇に紛れて、何者かがやったのではないか、と考え始めるようになりました。その何者とは一体誰でしょう? その場に居合せたとしたら、それは親友一人しかありません、しかし、その人は何一つ証拠を残していないばかりか、警官が飛んで来た時には、もう現場にいなかったのですから――」
「誰が警察へ知らせに行ったのです?」
「公衆電話だったそうです。無論誰だか分りませんでした。――で、譲治も一時はもしかしたら? と疑ってみたのですが、仮りに親友が殺したにしても、その後の仕打ちが余りにも親切なので、恨む気にもなれなかった。どんな事であろうと、罪は一人で背負おうと決心したそうです。