Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
「小母さんところの石油コンロが唸っているのよ、明日お出で、見せて上げるから……」
そういって聞かせても、子供は、(炭や薪で煮焚きしているのであろう、小里氏の屋根の煙を私は毎日見ている)不思議そうに薄暗い空を見上げて、「飛行機じゃないの」といっていた。
九
与一は日記をつけることがこまめであった。私であったら、馬鹿らしく、なにも書かないでいるだろう、そんな無為に暮れた日でも、雨だの、晴れだの与一は事務のようにかき込んでいた。
雨だの晴れだのが毎日続くと、与一自身もやりきれなくなってしまうのか、ついには「蚊帳が欲しい」とか「我もし王者なりせばと云う広告を街で見る」そんな事などが書き込まれるようになった。
だが飢える日が鎖のように続いた。もうこまめな与一も日記をほうりっぱなしにして薄く埃をためておく事が多くなった。
そうして、日記の白いままに八月に入ったある朝、――跌ずいた夢でも見たのであろう、私は眼が覚めると、私はいつものように壁に射した影を見ていた。浅黄色の美しい夜明けだ。光線がまだ窓の入口にも射していない。
その時、私は新しげな靴の音を耳にした。