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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうふううにおわったいちにち

清風荘事件 他8編

松本 泰

Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

そこには頬骨の張った血色の悪い、三十前後の背広を着た男がいた。

「まあ立っていないで、ここへおかけ。ぼくはきみに悪意なんぞを持っているんじゃあないよ。悪意どころか、ぼくは五年振りにきみを捜し当てて、まだ神さまに見捨てられなかったことをしみじみ感謝しているくらいなんだ」

と、男は言った。

「この広い東京であなたに見つかるなんて、本当に運ですわね。けれどもわたしはあなたと結婚したわけではなし……そりゃ子供のときにどんな約束をしたかしれませんが、五年もこうして隠れていたんですもの、あなたもそれだけで分かってくだすってもよくはない?」

波瑠子は冷ややかに言った。

「子供のとき? それはいけない。親父の大切な宝石を盗んで逃げ、汽船では身投げした女になり済まして、横山ハル子は死んだことに作ったりした手際は、子供の知恵とは言われないからね」

「あなたはあのダイヤモンドを狙っているのね。けれどもあのダイヤモンドだって、曰くつきの代物よ。張さんのものをあなたのお父さんが……」

「しっ! あなたは何を言っているんだ。張は取引を済ましたあとで勝手に酒を飲み歩いて、追剥ぎに殺されたのじゃあないか。