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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうふううにおわったいちにち

清風荘事件 他8編

松本 泰

Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

時は流れるという言葉を、しみじみ思う。イサベルの訃を聞いてからも、すでに数年になる。

今日はわたしの誕生日だ。祝ってほしい誕生日ではないが、祝ってくれた父や母や伯母も、いまは墓石になって、わたしの植えた珊瑚樹の葉擦れの音を聞きながら、青山の墓地に眠っている――

と、伊東はその晩の日記に書くことであろう。

ポリッジとベイコンエッグス、ライプドオリーブ、それに紅茶とパンと、十年一日、判で捺したような朝食を済ましてから、伊東は松林に囲まれた家を出た。街には出ないで、役場の横から明神下の入江に通ずる道には、春を待つポプラが並木を作っている。

疎らな人家を過ぎて船板を渡した溝を越えると、勝浦町へ通ずる県道になっている。伊東は晴れた空の下に杖を振って、だれも人の通っていない明るい海岸の道路を歩いていた。したがって喜望峰のテーブル山の景色と、現世にいない両親や伯母やイサベルのことを、さっきと同じく何物にも乱されずにぼんやりと思いつづけていた。

道路は爪先上がりに高くなって、海岸からだんだんに離れていった。彼は第一のトンネルを越したところから県道を切れて、菜の花の開いている崖の上の山道を入っていった。