Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぼうふううにおわったいちにち
清風荘事件 他8編
松本 泰
Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme
三人はひと塊になって最初の階段を下りたところで、信子が、
「鈴木の小父さん! 早くお店に来てください!」
と呼び立てた。
その時、階下でも怪しい物音を聞いたとみえて、方々で戸の開く音がした。寝巻のまま階段を跳び上がってきたのは小使の鈴木であった。
パーラーにぱっと電灯が点いた。見ると青銅のビーナスの像の下に、白い寝巻を着たみのりがべったりと床に坐っていた。
「どうしたんです、お嬢さん!」
鈴木が傍へ寄って少女を抱き起こした。
「まあ、みのりさん、どうなすったの?」
「怪我でもなすったのじゃあないの!」
階段を駆け下りた女たちは、労るようにみのりを長椅子に連れていった。
そこへ、ワイシャツの上にガウンを羽織った主人の海保が慌ただしく駆けつけた。
「みのりか、いったいどうしたんだ? おまえはなんでこんなところへ来たの?」
少女は父親の言葉にもだれの言葉にも答えず、電灯のほうに顔を向けていたが、長い睫毛の間に涙が光っていた。
「どこか怪我でもなすったのじゃあないかしら、ええ? 大丈夫?」
信子が顔を寄せて気遣わしそうに訊ねると、少女は大きく頷いた。
「わたし、夢現に女の呻き声を聞いて目を覚ますと、お店をだれか駆けていく足音を聞いたんですよ。