Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼうふううにおわったいちにち
清風荘事件 他8編
松本 泰
Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme
青年がその日の生活に困って、物乞いをするのだと思ったからである。けれども、自分はすぐ勘違いをしたことに気づいた。青年の服装はきちんとして靴も光っていた。
「見ず知らずの方に突然こんなことをお願いしたら、定めし変な奴だとお思いになるでしょうが、どうぞわたしを助けてください。わたしはいま、絶体絶命の位置にいるのです。こんなことを申しては失礼ですけれども、わたしはあなたをお見かけした瞬間、きっとあなたならわたしのこの妙な話を平気で聞いてくださると思って、つい声をおかけしたのでございます」
青年はそう言いながらも、落ち着きのない視線をわたしの肩越しに後ろへ投げている。
「きみを助けるのですって? わたしにそんな力があるでしょうか? 絶体絶命だのなんだなのって、それはいったい何のことです?」
「まったく、あり得べからざることなのです。けれども、事実は迫ってきているのです。このままでいたら、わたしは数日中に殺されてしまうでしょう」
わたしは口もとに込み上げてくる微笑を抑えてベンチに腰を下ろし、まず煙草を取り出した。だが青年の思い迫ったような顔つきに、わたしの微笑は消えてしまった。