Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶおんせんのあき
渋温泉の秋
小川 未明
Lesen Sie 渋温泉の秋 (しぶおんせんのあき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.635 Zeichen · 6 Bildschirme
男は肥えて顔が赤かった。女は痩せて丈が高くて黒い覆面をしていた。この町の小供等は、二人の西洋人の後方についてぞろぞろと歩いていた。斯様に、子供等がうるさくついたら、西洋人も散歩にならぬだろうと思われた。山国の渋温泉には、西洋人はよく来るであろう。けれど其れは盛夏の頃である。こう、日々にさびれて、涼しくなるといずれも帰ってしまう。今は、西洋人は此の二人よりないらしい。それで子供等は、西洋人を物珍らしく思うのであろう。二人の西洋人は、ある宿屋の店に腰をかけて、暮れゆく夜の山を見ながら話し合っていた。
夜、安代の旅籠屋で琵琶歌があるから、聞きに行かぬかと誘われたけれど行かなかった。日が暮れると、按摩の笛の音が淋しく聞かれるばかりである。
此の頃来たという美しい女の飴売が、二人の子供を連れて太鼓を叩きながら、田中の方から、昼も、夜も、日に二三回は必ずやって来るが、あまり銭をやるものもないと見えて、じきに行ってしまう。銭をもらって歌をうたうて聞かせるのである。按摩の笛の音と、此の飴売の太鼓の音をかわる/″\聞きながら、私は、床の中に横わって眼を閉じる。溪川の香が近く、遠く幽かに耳について遠いところへ来てゐるという感じがせられた。