Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
Lesen Sie 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.023 Zeichen · 133 Bildschirme
この不思議な、血行が人間の力で支配出来ないと同様に、或る程度までは不可抗的な希望という魔力、明るい、胸の躍る、その希望に釣られまいとするために、その係蹄に足を取られないためには、正隆は、その希望を殺さなければならないのを発見した。が、希望は不死に見えた。希望そのものを縊ることは出来ない。そこで、正隆は、自ずと希望の対象となる総ての外界の価値を、彼の思い得る最低にまで引下げた。そして、結局、自分は、彼を希望する、が、然し、見ろ、世の中はあんなだ、俺の行くだけ、それだけ価値のある場所はない、という、一種の理論を構成して、強いても、不能力者となったのである。
三十から四十歳にかけての時代を、こんな状態に送ることは、正隆にとって、恐ろしい苦行であった。彼は、家庭を失った寂寥にも堪えかねたし、また無為な、力の遣り場のない日常にも圧せられた。彼は、それ等の不調和に、真実に苦しんでいたのである。けれども、長兄や、或は親戚の者等が、彼のために或る地位などを、周旋すると、正隆は寂しい冷笑を漂べながら、
「僕は、あんな泥棒共の仲間に入るのはいやだ」と拒絶した。が、時によると、つい、活気に満ちた生活の光輝に誘われて、彼も我知らず話に乗ることがある。