Japanische Klassiker mit Furigana
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たにさんだい
渓三題
木暮 理太郎
Lesen Sie 渓三題 (たにさんだい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.066 Zeichen · 12 Bildschirme
中にも豪壮とか偉麗とかいうような文字は、花崗岩の山水に最もふさわしい形容詞であるといえる。そして私の知っている範囲では、日本の如何なる峡谷を持って来ても、遂に黒部峡谷に及ぶものはない。長さ二十里に余るこの大峡谷は、実に豪宕と偉麗とを合せ有し、加うるに他に容易に見ることを得ない幽峭と険怪とに満ちている。この規模を小さくしたものに双六谷があり、更に一層小さくしたものに都近い所では、笛吹川の上流東沢西沢がある。私は今其一斑を読者に紹介するに先立って、美しい渓谷を作る要素に就て少しく述べて見たい。美しいといっても単に優美という狭い意味ではなく、素晴らしいとか物凄いとかいう意味をも含んでいるものと思って戴きたい。
渓谷を美しくする要素として、第一に挙げたいのは水の色である。水が濁っていると淵も瀬も区別がつかなくなる為に、著しく浅いという感じが起る。流が急であると猶更其感が深い。勿論水嵩が増せば奔放の勢は倍加するに相違ないけれども、水の運動の見える所は表面だけに止るので、謂わば臆病者の長刀と同様、真の恐ろしさに欠けている。但し大洪水のような特別の場合は例外としなければならぬ。