Japanische Klassiker mit Furigana
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たにさんだい
渓三題
木暮 理太郎
Lesen Sie 渓三題 (たにさんだい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.066 Zeichen · 12 Bildschirme
森林にも闊葉樹林と針葉樹林とがある。闊葉樹林は概して明るく快活であるが、針葉樹林は暗く陰鬱である。谷川の趣も亦この周囲を取り巻く森林に依って、明るくなったり暗くなったりする。それが人の心をも同様に支配するから面白い。しかし闊葉樹林でも谷が狭く、両岸から生い茂った大木の枝と枝とが空も見えぬまでに蔽いかぶさった所では、いつも斯様な場所にのみ屯している暗く冷い空気が不安に満ちた人の心に犇々と迫って来る。奥羽殊に羽越の国境に蟠崛する飯豊、朝日の連峰に取り巻かれている谷や、奥上州から信越の国境に亙る山脈中に抱かれている谷などは、大部分これであって、密生した灌木と根曲り竹とを下生とした原始の森林は、通過することが非常に困難であるし、狭い上に岩壁の高い谷は、遡行は不可能であるから、山が低いにも拘らず、谷の奥を見上げる人をして、思わず「深いなア」と嘆声を発せしめる。北アルプスは言う迄もなく、大井川にもこれ程の深い森林はそう多くはない。この意味からして私は、木の葉が落ちて山肌の露れた晩秋初冬の頃よりも、新緑の候が谷を見るに最も好い季節であると信ずる。
試みに新緑の谷間を遡って見玉え。