Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こんとんみぶん
渾沌未分
岡本 かの子
Lesen Sie 渾沌未分 (こんとんみぶん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.232 Zeichen · 33 Bildschirme
小初は砂金のように濃かく汗の玉の吹き出た薫の上半身へ頭を靠れ薫の手をとった。不憫で、そして、いま「男だ」と云ったばかりの薫の声が遠い昔から自分に授っていた決定的な男性の声のような頼母しさを感じて嬉し泣きに泣けて来た。
「許す?」
「許すも許さないもありゃあしない」
「薫さん、ついてお出でよ。東京の真中で大びらに恋をしよう、ね」
小初の涙が薫の手の甲を伝って指の間から熱砂のなかに沁み入った。薫はそれを涼しいもののように眼を細めて恍惚と眺め入っていたが、突然野太い男のバスの声になって
「そりゃ、貝原さんはいい人さ、小初先生と僕のことだって大目に見ての上で世話する気かも知れませんさ。だけど、僕あ嫌いです。いくら、僕、中学出たての小僧だって、僕あそんな意気地無しにあ、なれません」
「じゃあ、どうすればいいの」
「どうも出来ません。僕あ、どうせ来月から貧乏な老朽親爺に代って場末のエナ会社の書記にならなけりゃならないし、小初先生は東京の真中で贅沢に暮らさなけりゃならない人なんだもの」
ダンスの帰りの料理屋でのいきさつ――小初を世話する約束のほぼ出来上ったことを貝原は友達である薫の父親にゆうべ打ち明けに行ったことを薫はとうとう小初にはなした。