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Japanische Klassiker mit Furigana

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こすいとかれら

湖水と彼等

豊島 与志雄

Lesen Sie 湖水と彼等 (こすいとかれら) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.351 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

長い眉毛の下の小さい眼を驚いたように見張っている。そのぱっちりとした小さい眼と高からぬ鼻立とは、小さい宝を強く懐いている心を思わせた。黒い房々した髪を無雑作に束ねていた。

「一寸の間、向うで暖っていて下さいよ。」と口早に彼女は二人に云った。

彼女は何となく落ち付かなかった。自然と心が急かれた。で用意していた菓子や果物や、それから鮨などを舟に運んだ。火鉢をしかと横木に結えて、それに一杯火を盛った。お茶の道具と炭と褞袍とを片方に置いた。それらのことを彼女は息をはずませ乍ら急いでやった。そして「宜しいですよ。」と云った。

二人はじっと顔を見合った。そして囲炉裡の側から立ち上って、渚に下った。

彼女は何とか云おうとして、その言葉が忘られた。何処にか心の中に平衡を失くした処があった。

女は黙って先に舟へ入った。

男は舟の側に立ったまま突然彼女の方に顔を向けた。頬の筋肉が堅く引き緊っている。

「丁度月がありますから、もしかすると帰りは少し遅くなるかも知れません。御心配なさらないように。」

彼女は何と答えていいか分らなかった。そして眼を女の方へ注ぐと、女はその時ふり返ってじっと彼女を見た。