Japanische Klassiker mit Furigana
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まんかんところどころ
満韓ところどころ
Lesen Sie 満韓ところどころ (まんかんところどころ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.601 Zeichen · 148 Bildschirme
けれども歩いている途中は実に苦しかった。飯の菜に奴豆腐を一丁食ったところが、その豆腐が腹へ這入るや否や急に石灰の塊に変化して、胃の中を塞いでいるような心持である。腮の奥から締めつけられて、やむをえない性質の唾液が流れ出す。それに誘われるままにしておくと、嘔きたくなる。せめて口中の折合でもと思って、少し抵抗しにかかると、足が竦んで動けなくなる。余は幾度か虫の音の中に苦しい尻を落ちつけようかと思った。ただ橋本に心配させるのが、気の毒である。支那の荷持に野糞を垂れてると誤解されたって手柄にもならない。そこで無理に歩いた。
遥向うに灯が一つ見える。余が歩いている路は平らである。灯はその真正面に当る。あすこへ行くんだろうと推測して星の下を無言に辿った。今日の午は営口で正金銀行の杉原君の御馳走を断った。晩は天春君の斡旋ですでに準備のできている宴会を断った。そうして逃げるように汽車に乗った。乗る時橋本にこの様子じゃ千山行は撤回だと云った。実際撤回しなければならないほど、容体が危しくなって来た。ただ向うに見える一点の灯火が、今夜の運命を決する孤つ家であると覚悟して、寂寞たる原を真直に横切った。