Japanische Klassiker mit Furigana
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げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
Lesen Sie 源蔵ヶ原 (げんぞうがはら) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.843 Zeichen · 28 Bildschirme
泰二の口が力なくあき、その眼がそろそろとのろのほうに向いた。又次郎の貧乏ゆすりが止り、宗吉は自分の盃へ酒を注ごうとしたまま、疑わしげにのろの顔を見まもった。市三はそっぽを向いたまま動かず、忠太ひとりは血ばしったような眼で、泰二の表情をのがさじと睨んでいた。
「このうちから暇を取ったのも、小梅の実家から本所の親類のうちへ身を寄せたのも、みんなそのためだった」とのろは続けた、「おなかの児はよつきで、躯が小柄だから人の眼につく、それでこの店にもいられなくなったし、実家にも近所が遠慮でいられない、それが十月のことで、しかも相手の男と相談したが、世帯を持つあては当分ねえっていう、腹の児はもうむつきだ、小梅の実家には両親のほかにきょうだいが七人、寝たっきりのばあさんもいるというありさまだ、これだけ事が揃えば、身投げをするのもそんなにふしぎはねえだろう、――死ぬまえの晩のことだが、夜なかにしくしく泣きながら、二度も三度も男の名を呼んだそうだ」
のろはそこで口をつぐみ、眼をつむった。泰二の顔はみじめに歪み、彼を睨みつける忠太の眼はぎらぎら光る