Japanische Klassiker mit Furigana
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げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
Lesen Sie 源蔵ヶ原 (げんぞうがはら) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.843 Zeichen · 28 Bildschirme
盃を指さして、「よくわからねえんだが」とみんなの顔を見まわしながら云った、「――この酒、どういうことになるんだい、おらあからっけつで来ちゃったぜ」
「珍しいことを聞くもんだ」と忠太が云った、「いつもは胴巻にずっしり持ってるのか」
又次郎は市三と宗吉の顔を見た。どちらも知らぬそぶりで、忠太の云ったことなど聞きもしなかった、というようにみえた。
「のろがやって来て」と又次郎は呟くように云った、「ここへ早くこいって云うもんだから、おらあこのとおり仕事着のままとんで来ちゃったんだ」
「いいんだったら」と宗吉が手を振った。
「飲めよ」
「心配するな」と忠太が云った、「割前を取ろうたあ云わねえから」
又次郎は口へもってゆきかけた盃を止め、忠太を見て、おめえの奢りかときいた。
「気になるのか」と忠太が反問した。
「ならなくってよ」と又次郎がやり返した、「おらあ、昔っからいつもぴいぴいだった、いまでもぴいぴいだ、けれども集まって飲むときに、割前を出さなかったこたあいちどもなかった筈だぜ」
「もう始めるのか」と宗吉が遮った、「おめえたち二人は顔を見るなりいつもそれだ、よく飽きねえもんだな」