Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おぼるるもの

溺るるもの

豊島 与志雄

Lesen Sie 溺るるもの (おぼるるもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.690 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

何だか沈んでる様子だった。昼間はここは実につまらない、君がいたんで助かった、昨夜の約束の酒だ、とそんな風に一人で云った……。

それから……いろんなことが思い出された。こんなじゃ今日は駄目だ、とあたしは思った。姉ちゃんがついてくれるのも無理はなかった。あたしは眼が悪い。夕方なんか表がぼんやりする。それを一生懸命に、あの人が来るかと、窓から覗いていて、他のことには一切気が乗らない。駄目な人に声をかけてみたり、物になりそうな人を通りすぎた後で気付いたりする。その日はほんとに閑だった。まだ足が続いてる馴染のお客で、やって来そうな人もなかった。

そしてその晩遅く、あたしは一人でそっと起き上って、煙草を吸いながら、また胸算用をやっていた。もうここの家にも借金は大して残っていないだろう。それと、父の石塔の代の五十円だけだ。それくらい、あの人がどうにかしてくれるだろう。いつまでこうしていたって仕様がない。もう嫌だ。あの人がかりに一度に二十円使うとして、あたしのものになるのはその四分の八円、そのうちからまたいろんなものが差引かれる。その二十円をそっくり貰ったら、月に三度か四度でもいいから、こんな商売もせずに、一日ゆっくりあの人の側についておられる……。