Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おぼるるもの

溺るるもの

豊島 与志雄

Lesen Sie 溺るるもの (おぼるるもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.690 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

――其他いろんなことを俺は聞きかじった。ショペンハウエルとかベルグソンとかトルストイとかいう名前も出て来た。それに対してジプさんはただ、時々冗談まじりの弱々しい応酬をしてるきりだった。そんな道徳の教科書みたいな言葉に、ジプさんがどうしてそう凹まされてるか、俺にははがゆくもあったり可笑しくもあった。

けれど、雀の巣の様子も変だった。浅黒い顔を輝かし、眼を光らして、強い調子で饒舌っていたが、その底に何だか、今にも泣き出しそうなものが見えていた。心の落付を失って※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いてるようだった。それがやはり俺には、はがゆくもあったり可笑しくもあった。

そのうちにどうしたのか、雀の巣は慌てて立上って出ていった。急な用でもあったんだろう。ジプさんは一人で居残った。

俺は酒でも奢って貰おうと思って、ジプさんの方へ立上っていった。

「大変やりこめられてたようじゃありませんか。」

「うむ。」とジプさんはいつになく考えこんでいた。「どうも彼奴この頃変だ。今日はまたむきになって饒舌り立てた。敵意……僕に向ってじゃない、何かに敵意でも持ってるように、しきりに苛立っていた。