Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
と芳村は喉声できいた、「今夜かぎりおりうに会わないと誓えるか」
安宅はじっと相手の眼をみつめた、「誓う、と云ったら信用するか」
「そっちは侍だからな」
安宅はまた溜息を吐き、眼を伏せた。殺意はもうぬけた、この男にはもうおれを斬ることはできない、と安宅は思った。
「刀をしまってくれ」と安宅は穏やかに云った、「刀を突きつけられたままでは返辞はできない」
芳村は一と足うしろへさがり、刀をよくぬぐって鞘におさめた。安宅は静かに立ちあがり、着物のうしろを払った、躰温で溶けた雪と泥とで、そこはきみわるく濡れていた。
「さあ聞こう」と芳村が云った。
「まだだな」安宅は首をそっと振った、「おまえさんにはおれのことがわかってるようだが、おれにはおまえさんのことがなんにもわかってはいない、あの人からあらましのことは聞いたけれども、おれは人の話を信じてひどい失敗をしたことがあるんだ」
芳村伊織は鼻でふんといった、「身の上ばなしでもしろというのか」
「おれはあの人を妻にしようとさえ思っているんだぞ」
芳村は仰向いて夜空を見あげ、それから益村安宅のほうへ振り向いた。
「立ち話もできないな」