Japanische Klassiker mit Furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
「すっかり酔いがさめてしまった」と安宅が云った、「あったかいところへいきたいな」
「衣笠へでも戻るか」
「そこもとの住居にしよう」
芳村はすぐには答えなかった。
「住居はあるんだろう、聞く耳のないところがいいと思うんだ、尤もぐあいの悪いことでもあればべつだがね」
「こじきごや同然ですよ」
「酒を買っていこう」と安宅が云った。
芳村の住居は川端と呼ばれる裏町で、古い長屋がごたごたと並び、はだら雪のほの白さが、それらをいっそううらぶれた、みじめな眺めに仕上げているようであった。ろじを突き当った向うに珂知川が流れているのだろう、横丁からそっちへはいってゆくと、流れの音がかすかに聞えて来た。芳村はその長屋の一軒の前で立停り、ここですと云って、雨戸をあけにかかった。たてつけが悪くなっていて、雨戸はなかなかあかず、すると、右隣りの家の戸があいて、お帰りですか、と女の呼びかける声がし、あたしがあけてあげますよと、その女が出て来ようとした。
「ありがたいがやっとあいたよ」と芳村は女に向かって云った、「もう馴れてもいいじぶんだが、この戸にはいつもてこずる」
「お客さまですね」隣りの女がこっちを覗いて云った、「いま火だねを持っていきますよ」