Japanische Klassiker mit Furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
嫁菜がどうしたんですか、とおわきが問い返した。安宅は笑って答えなかった。
九日は城代家老に招かれた。相客が十人あまりあったし、「衣笠」からも料理人が呼ばれ、日の昏れるまで盛宴が続いた。城代の松島悠斎は酒が飲めないのに、こういう賑やかな催しが好きで、しばしば人を集めて宴を張る。あるじがげこだから、酒よりも料理のほうが主になるし、それも冬期だと鳥獣の皿や鉢が多いので、敬遠する者のほうが多かった。その日も鹿と猪と山鳥に、しぎのつくね煮という献立てで、芹と胡桃の叩いたのを詰めた山鳥の焙り焼きはうまかったが、鹿と猪には安宅も手が出なかった。
「おい、もうそろそろぬけだそうじゃないか」うしろから囁きかける者があった、「これ以上ここにいると胃袋が裂けちまうぞ」
振り向くと畠中辰樹であった。知らなかったので安宅はおどろいて眼をみはった。
「いつ来たんだ」
「初めからさ」と云って畠中は末席のほうへ手を振った、「身分が違うからな、あっちの隅でおそれいってたんだ」
「江戸のほうの結果はどうだ」
「うまくいったさ、知らなかったのか、とにかくここを出よう」
安宅は隣りにいた諸岡主馬に断わり、急用ができたから城代によろしく、と伝言を頼んで立ちあがった。