Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうしのむすめ
漁師の娘
徳冨 蘆花
Lesen Sie 漁師の娘 (りょうしのむすめ) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.592 Zeichen · 23 Bildschirme
後は畑からすぐ山つづき、左と右は唯もう茫々たる葭葦の何段ともなく生い茂って居て、前の方ばかり少し開けて居る。此の開けて居る間から溶々として家の戸口まで這入って来るのが霞が浦で、此の開けて居る間を横一文字に遥に限って居るのが筑波の連山だ。家の前には水の中に杭打って板をわたし、霜の朝に顔洗うも、米洗い、洗濯、あと仕舞い、または夕立に網あらい、ただしは月の夕に泥鍬を洗うのも、皆此処だ。水の中には何時も茶碗のかけ飯粒菜葉などが落っこちて小魚や水馬が群って居る。すぐ向うの杭には、常に一艘の小舟が筑波とすれすれに繋がれて、其のあたりには家鴨が始終ぽちゃぽちゃやって居る。其の向うには、鰻や鮒を入れた大きな魚籃が半分水に浸って、もう其の向うは乱れ葦の縦横に生い茂って、雲つく程伸びたのもあれば、半からぽっきと折れたのもあり、葉が浮くやら、根が沈むやら、影が水に映って、水が影を揺かして、影か形か、形か影か、深いか浅いか、一切分らない。右の方は物干竿が立って其の向うの蘆の少し開けた処に大きな柳の古株があって、此処に腰かけると霞が浦は一眼だ。それ水鳥が飛ぶ、白帆が走る、雲が出て筑波が潜む、魚がはねて水に環を画く。