Japanische Klassiker mit Furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme
「あたくし、これからどんなにでも働いて、もっと店が儲かるようにしますわ。酒のみのお客さんには、あとからあとから、お銚子を出してやるの。美智子さんみたい、少しお上品すぎますわ。それに、お料理だって、もっと高くしていいんですわ。」
芳枝さんはびっくりしたように彼女を眺めた。そして、つと立上った。佐代子と並んで、くっついて、手を執りあったりして、銚子を前にして、そこに腰掛けてたのに、一層びっくりしたらしかった。
「もう寝ましょう。」と彼女はぽつりと云った。
佐代子はぽかんとしていた。それから、赤い顔をなお真赧にして、立ち上った。
「片付けるのは、明日でいいわよ。もう遅いから。」
芳枝さんは何かしら不機嫌で、時計を仰いで、洗面所の方へ行った。手を洗って口をすすいだ。佐代子とくっついたのが気に入らなかったらしい。着物をばたばたはたきながら、二階に上っていった。
佐代子は何か考えこみながら、ゆっくり後片付をした。
俺は花瓶の中で、何度も欠伸をしたものだ。
その翌晩、片野さんが、十一時近くにやってきた。四五人客があった。片野さんは隅っこの卓子に腰を下した。佐代子が出ていって、黙って丁寧にお辞儀をした。