Japanische Klassiker mit Furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme
人がきいたら呆れますよ。
――そうかも知れない。
――彼女を抱いてて、「君はまだ処女なの。」ときいたでしょう。「そうよ。」と彼女は返事をしたでしょう。覚えていますか。
――覚えてるようだ。
――「芳枝は僕の女房みたいなものだが、この頃、誰か男の人と懇意にしてやしないか。」ときいたでしょう。すると彼女は、「知らん。」とただ一言返事したでしょう。覚えていますか。
――覚えてるようだ。
――キスの間で、よくもそんなことが云えたものですね。呆れ返った。
――僕も呆れてる。
――いったい、どんな気持だったんです。
――分らない。
――あんなに嫌ってたでしょう。最上の放蕩ですかね。
――ちがう。
――今もやはり嫌いですか。
――分らん。だが好きじゃあない。
――好きでなけりゃ、嫌いというものでしょう。まあいわば、臭いもののにおいをかぐといったところですかね。
片野さんは嫌悪の渋面をした。
――それとも、あなたが抱いてたのは、単なる肉塊でしたかね。
片野さんは眉をひそめた。
――なぜ最後まで犯さなかったんです。少し卑怯でしたね。
――何もかも卑怯だ。
――いやそんなことはありません。