Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しおかぜ

潮風

豊島 与志雄

Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてちょっと佇んでいたが、つかつかとやって来た。

「そこで、何をしてるの。」

佐代子は立上った。

「何をしてるのさ、今頃まで起きていて。」

佐代子は幽霊でも見る様に、惘然として相手を見ていた。

「ばか、何してたんだよ。」

芳枝さんの細そりした顔が、憤怒に歪んだ。足が震えていた。よろよろと歩みよって、佐代子の頬をひっぱたこうとした。びっくりして俺がその手を遮った、それがいけなかったらしい。彼女は手当り次第にコップをつかんで投げつけた。コップは壁に当ってばかに大きな音を立てて砕け散った。その瞬間に、芳枝さんはあッと叫んだ。佐代子の手に、料理用の鋭い出刃が光っていた。芳枝さんは真蒼になった。佐代子も真蒼になって、石像のようにつっ立った。

ほんの一瞬の気合いだった。芳枝さんがぱっと身を飜えして逃げ出すとたんに、佐代子も出刃を投げ出して、逃げ出した。その二人の動作がかちあって、出刃は芳枝さんの足に触れた。芳枝さんはばったり倒れた。丁度足袋の上の足首のところから血がふき出して床に流れた。

佐代子はそれに気がつかなかったらしい。裏口にかけよって、戸締りをあけると、表にかけ出してしまった。