Japanische Klassiker mit Furigana
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はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
Lesen Sie 濞かみ浪人 (はなかみろうにん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.425 Zeichen · 39 Bildschirme
あれは旗本の織田雄之助という男だった。家柄はおそろしくいい。織田右大臣の血脈だというのである。――それが息子の庄左衛門と懇意であった。
庄左衛門は、父には隠しているが、だいぶ彼から遊里の借財などもあるらしく、何かの時、
(妹を妻にくれないか)
と、雄之助から切り出されて、庄左衛門は断り難い羽目になっていた。一応という余地も措かずに、先の家柄や、裕福な点や、又男ぶりだって、不足はなかろう位で、
(承知いたした。尊公が貰ってくださる事なら、父も妹も、ふたつ返辞で欣びましょう)
まったく、彼自身も、そう思い込んだから、その通りに請合ってしまったのだ。ところが、つむじ曲がりな一閑は、息子からそれを聞くと、
(何も、旗本などに、娘をもらって貰わんでもいい。――家筋が何じゃ、わけて近頃、名門の次男坊共の風紀は甚だおもしろくない。きっぱり、突っ刎ねてやれ)
すこし庄左衛門の持ちかけ方が、父や妹を喜ばせようとし過ぎて、誇大でもあったせいか、よけいに反感を買って、手きびしくこう一蹴されてしまった。
だが又、機嫌のいい折もあろうと、庄左衛門は多寡をくくって、一方の織田家へも、態よく云い繕って来たのであったが、一閑の気持は、其の後もいっこう変化しない。